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KUKA Robotics

KUKA社、S&OPの取り組み

業務負荷を低減しつつ、成長を促進する透明性、コラボレーション、およびコントロールの向上

ロボットと自動化の企業であるKUKAは、事業の成長に向けた取り組みにおいて、スプレッドシートでの業務を止め、ローリング月次計画に移行し計画プロセスを最適化することを検討していました。そこでKUKAは、Board意思決定プラットフォームを採用し、完全に統合されたS&OPプロセスを作り上げました。これにより、すべての段階で完全な可視性が確保され、営業部門と業務部門間のコラボレーションが促進され、ワークフローを通じてプロセスをコントロールしています。

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  • Industry: Machinery, Manufacturing
  • 部門: Finance, Sales, Supply chain
  • Revenue: €3.2 billion
  • Employees: 14,000
  • Countries: 62

ドイツに本拠を置くKUKAは、産業用ロボットと自動化ソリューション分野をリードするメーカーです。同社の製品は生産チェーン全体の向上を見据えて設計されており、溶接、レーザー切断、塗装、梱包などのプロセスで活躍しています。これらの多用途マシンは、食品工場、プラスチック生産、金属加工、ファウンドリ、電子機器、医療テクノロジ、エンターテイメントなど、多くの業界に参入を果たしてきました。

2019年にはおよそ320億ユーロの売上収益を達成。従業員数は1万4,000人を超えています。

課題: 成長を支える全社規模のローリング計画プロセスを構築する

成長軌道を維持するには、革新的な製品開発だけでなく健全な計画プロセスも欠かせません。KUKAではこの計画プロセスにおける最適化の可能性に注目しました。KUKAのプランニング&ロジスティクス部門グローバルディレクタであるAxel Flechtenmacher氏は、次のように述べています。

私たちは自社の成長をコントロールしたいと考えています。そのためには、必要な部門・子会社をすべてカバーした継続的かつ周到な計画に根差した、極めて正確な事業拡大の管理が必要になります。それを念頭に、当社は全社規模の継続的な、ローリングベースの月次計画プロセスの確立を目標に掲げました。

またKUKAは、将来の計画をカウンターフロープロセスへと分散化し、ワークフローや承認階層を取り入れることで、プランニング組織の構造改革を図りたいと考えていました。

プロジェクト以前、同社では各部門が個別にスプレッドシートで計画作業を行っていました。

各部門がExcelスプレッドシートにそれぞれのデータを入力して提出したものを、プランニング部門が正規の一元化されたデータベースがない中で何時間もかけて一つにつなぎ合わせていたのです

と、Flechtenmacher氏は話します。

KUKAのセールス&サービス制御部門責任者のSebastian Brand氏は、より制御された代替ソリューションに対する同社の要件について以下のように述べています。

統合されたセールス&オペレーションズプランニング(S&OP)プロセスの導入を目指していた当社は、戦略的計画から財務・販売・生産計画まで、プロセス全体を可視化するためのシステムを取り入れたいと考えました。その目的は、制御部門、営業部門、サプライチェーン部門に共通の構造化されたデータベースとともに、各部門の計画と分析要件をカバーする適切な入力機能やレポート作成機能を提供することでした。

KUKAの制御部門は、この新しいソリューションを使用して、年次通期予測、ローリング月次四半期予測を作成するほか、3か年予算も導入することにしました。

私たちは各地域の管理者がそれぞれの社内で入力内容を十分に確認して、例えば、受注数や収益予想が前年比でどのように推移したか、製品範囲や業界ごとに価格がいかに変動したかなどを示すことができるようにしたいと考えたのです。

と、Brand氏は説明します。

一方、営業部門とサプライチェーン部門の経営陣は、S&OPシステムを使用して、向こう12~18か月の需要・基本計画を販売計画に基づいて策定することにしました。KUKAのグローバルデマンドマネージャであるChristina Stark氏は、同社が従来のシステムで直面していた課題について以下のように説明します。

以前はSAP ERP計画ソリューションを使っていましたが、当社の求める最新機能の要件を十分に満たしていなかったため、役に立つよりもむしろ足手まといになっていました。入力およびレポート作成オプションはあまりにも時間のかかる、複雑なものでした。私たちがやりたかったことの1つは、主要顧客やスケジュールされた製品構成などに関して販売・需要計画の妥当性を検証することでした。

また同社は、生産リソースと過去の数字を計画プロセスに統合したいと考えました。

ソリューション: 計画と分析のための統合アプローチ

ふさわしいツールとパートナーを探していた当社は、市販の標準的な計画ソリューションのほとんどを評価しました。早い段階で気が付いたのは、分析機能を特に重視していたことで当社の標準計画要件が細かくなりすぎていたという点です。最終的に、当社の要件を完全に満たすことができるのは、計画機能を備えたビジネスインテリジェンスツール以外にないということがわかりました

と、Flechtenmacher氏は言います。

そこで同社は、ベンダーであるBoardインターナショナルが提供するBoard意思決定プラットフォームにたどり着きます。このプラットフォームには、ビジネスインテリジェンス、計画、予測分析が1つのインターフェイスに統合されていたためです。KUKAのソリューションを採用した理由は機能の問題だけではないと、Flechtenmacher氏は以下のように強調します。

当社を支えてくれるパートナーであることも重要です。私たちはBoardの積極的姿勢にも感銘を受けました。こちらが簡単にお伝えした状況に見合うソリューションを即座に開発してくれたのです。ごく短期間でBoardが開発したソリューションはまさに最適なもので、そのプレゼンも非常に専門的なものでした。当社のためにこのプロジェクトをどうしてもやりたいという熱意が伝わってきました。

メリット: 標準化、制御、精度、コラボレーションの向上

当初のプロジェクト要件に設定された期限は短かったのですが、プロジェクトが始まるとすぐ、Boardは熱意だけでなく能力もあることを存分に証明してくれたと、Flechtenmacher氏は説明します。

プロジェクトが始まったのは2012年6月のことです。秋までには新しいツールを使って予算計画に着手できるようにしたいと考えていました。どんな企業にとっても極めて困難な計画だったことは間違いありません。

予算計画は予定どおり開始され、制御部門は大いに助かったとBrand氏は断言します。

以前は世界中からさまざまなバージョンのExcelスプレッドシートが一斉に送信されていました。問題はそれらのバージョンが最新ではなく、結合が困難だったことです。今ではすべての数字が1つのシステム内に1つの形式で、常に手の届く場所にあります。ようやくまともなワークフローが整いました。

計画データの入力画面とともに、KUKAの販売会社には既定のレポートが提供されるようになりました。このレポートでは、販売会社の担当者がその場で入力データの妥当性をチェックしたり、保存されている履歴データと計画した数字を簡単に照合したりすることができます。これにより制御部門は、あらゆる承認段階で計画の状況を追跡することや、計画が今どの段階にあるのかを確認することができるようになりました。制御部門はほかにも、システムに入ってすぐに予定された計画目標を確認して分析することも可能です。

需要・基本計画は、さらにその後のステップで導入されました。需要計画の数字の検証が済めば、販売計画を適用することが可能になります。この段階でより詳細なデータの計画へと進み、そのデータが生産工場に割り当てられ、利用できる生産リソースとのマッチングが行われます。それが調達計画やリソース計画を立てる際のベースとなる「基本計画」になります。

後工程では、総合的な財務計画や人事計画がサブプロジェクトの一環として策定されます。

標準化された省リソースの計画プロセスを企業戦略に沿った形でようやく実現できました。世界規模でBoardベースの標準ワークフローを導入したことで、計画結果の状態をいつでもチェックして、計画段階での現在位置を把握できるようになりました。計画の質、精度、透明性が大幅に高まると同時に、作業量が軽減されました。制御部門ではこの傾向がひときわ顕著です。修正はシステム自体の中で行うことができ、自動的に適用されます。さらに、各種レポートの更新も自動化されています。特に自動車業界での最新の動向から生じた課題により、このような柔軟性は非常に貴重です

と、Flechtenmacher氏は説明します。

また、Brand氏は次のように付け加えます。

営業部門の販売担当マネージャは、効果的なプロセスとツールで従業員を主導できるようになりました。また、販売計画をはるかに詳細に可視化することもできます。

Boardを採用したKUKAでは、全社規模の標準データベースによるメリットも得ています。これにより、各部門から子会社に何度も問い合わせを送信せずに済むようになりました。ほかにも有益な副次効果として、各部門が計画画面の統合で協力したことにより、有機的かつ集中的なアイデアの交換や緊密なコラボレーションが促進されたことが挙げられます。

当社にとってこれは大きな前進です」と、Flechtenmacher氏は力説します。「以前は、計画といえばあらゆる面で統一されていない作業でした。それが完全なチームワークへと成長したのです。

KUKAでは、引き続き日常業務でのレポート作成システムやBoard利用の最適化に取り組んでいます。計画ツールは現在、ドイツをはじめとする欧州やアジア、さらには北米や南米に拠点を置くKUKA Roboticsの販売会社30社すべてで使用されるまでになりました。