概要
DENSO Europeのアフターマーケット部門は、Excelを中心とした従来の計画プロセスから脱却し、Boardを活用した統合型かつ継続的な計画プロセスへと進化を遂げました。この統合プラットフォームにより、セールス・サプライチェーン・財務が一体となって連携し、新たなデータが得られるたびに、計画・シミュレーション・調整を柔軟に行えるようになっています。DENSOは、仮説を継続的に検証し、市場の実態に即した予測へと整合させると同時に、変化への対応スピードを大幅に向上させました。この変革により、48の市場にまたがる組織横断のコラボレーションが強化され、SKUレベルの詳細から中長期的な戦略視点に至るまで、より高い可視性を実現しています。
主な導入効果
- 商品別・顧客別の視点を統合した計画により、部門横断およびグローバルアライメントを強化
- 透明性の高いワークフローにより、部門間のコラボレーションを促進
- 統合されたデータモデルにより、リアルタイム更新やシナリオシミュレーションを実現
- より迅速かつ高精度な予測を実現
- SKUレベルで価格、マージン、数量を詳細に可視化
企業概要
DENSO(デンソー)は、自動車分野における先進技術、システム、製品を提供する世界有数の自動車部品メーカーです。より安全で、環境にやさしく、効率的なモビリティ社会の実現を目指し、技術革新を中核に据えた取り組みを行っています。DENSOは、環境負荷の低減と快適性・安心感の向上を両立する技術を開発し、人々の暮らしに貢献しています。現在では、同社の製品およびシステムは世界中のほぼすべての自動車メーカーの車両に採用されており、グローバルな自動車産業の発展を支えています。
課題:Excelに依存した販売計画プロセス
DENSO Europe アフターマーケット部門は、OE品質の自動車部品および関連サービスを、販売業者、卸売業者、整備工場向けに提供しており、DENSOの欧州全体の利益の40%以上を支えています。48の欧州諸国で事業を展開する同部門は、信頼性、技術革新、そして環境への配慮を重視し、地域全体における車両の保守・修理を支えています。
一方で、販売計画プロセスは長年にわたりExcelベースのワークフローに依存しており、これが複数の業務上の課題を引き起こしていました。
- 同時アクセスによるデータ破損
- 手入力ミスによる不整合な結果
- 計画プロセス全体の透明性不足
需要計画(Demand Planning)やシナリオモデリングが統合されていなかったため、市場変化に対する柔軟性や即応性は大きく制限されていました。
詳細データと上位レベルの入力値を整合させる作業は複雑かつエラーが発生しやすく、また、計画業務を一元的に管理するワークフロー基盤が存在しなかったことで、全体の把握や迅速な調整が困難でした。需要計画とのデータ連携も容易ではなく、数量の反映やGAP分析を複雑化させていました。さらに、シナリオシミュレーションが行えないことが戦略的な計画立案の制約となると共に、制約を考慮しない販売計画の不正確さにより、バックオーダー(BO)が発生するケースもあり、自動化と統合を備えた統一的な計画環境の必要性が明確になっていました。
こうした背景からDENSOは、統合性の向上、データ精度の強化、そしてシナリオプランニングの高度化が、業務効率と競争力を高めるうえで不可欠であると認識しました。
Celine D’Annucci
これまでは、すべての業務をExcelで行っていました。そのため、Boardで実現できているような詳細なレベル、つまり商品単位での計画を立てることはできませんでした。
ソリューション:統合された継続的プランニングと将来を見据えたインサイト
DENSOは、計画、分析、レポーティングを単一の統合プラットフォーム上で実現できる点を評価し、Boardを採用しました。Boardにより、セールス・サプライチェーン・財務を横断した継続的なプランニングが可能となり、Logilityの需要予測や最新のコストアサンプションなど、新たなデータが得られるたびに、計画をリアルタイムで更新できます。
特に重要なのは、セールス計画プロセスのアウトプットが、Board上で運用されるP&L予算へと直接連携されている点です。これにより、オペレーショナルな予測から財務成果までを一気通貫で結ぶ、エンドツーエンドのプランニング基盤が構築されました。
将来を見据えると、Microsoft Azure基盤を活用したAI統合を含むBoardの技術ロードマップは、DENSOの変化するニーズに合わせてプラットフォームが継続的に進化することを保証します。この将来志向のアプローチにより、Boardが今後5年、そしてその先にわたって、戦略的プランニング、レポーティング、分析要件を支え続けるという確信をDENSOにもたらしました。
主なソリューション領域
領域1:統合されたダイナミックなプランニングフレームワーク

Boardにより、DENSOは複数のシステムに分散していたマスターデータを統合し、セールス・サプライチェーン・財務全体にわたる正確性・機動力・一貫性を実現しました。ユーザーは、異なる時間軸を持つ複数の計画シナリオやバージョンを動的に作成・管理でき、ビジネスの変化に応じて、新たな製品コードや顧客コードをプラットフォーム上で直接追加することも可能です。
計画プロセスはSKUレベルの製品視点と顧客視点の両方をカバーし、多次元的で詳細な分析を支援します。トップダウンの戦略的整合性と、ボトムアップのオペレーショナルな詳細を組み合わせることで、挑戦的でありながら実行可能な計画を策定できます。
また、Boardはセールス計画とサプライチェーンのインプットを統合します。Logilityの需要予測に、動的な価格・コストアサンプションを組み合わせることで、Year-to-Go(年内見通し)の販売金額およびCOGSを高精度に算出可能です。さらに、5年間の長期計画では、市場成長、製品投入・撤退、価格やコストのトレンドをモデル化できます。この継続的なプランニングループにより、戦略目標と市場動向、オペレーションが整合され、組織は高い機動力を維持できます。
その結果、部門間連携が大きく強化され、Logilityの需要予測がサプライチェーンに正式に組み込まれるとともに、セールス計画のアウトプットが財務におけるP&L予算の起点として直接活用されるようになりました。
Elena Kutlemina
これまでは、顧客別および商品グループ別に販売計画を立てていましたが、Boardを導入したことで、部品番号レベルまで掘り下げた計画が可能になりました。さらに、価格や粗利率をはじめとする重要な指標も織り込むことができるようになり、私たちにとって大きな前進となりました。
領域2:製品・顧客レベルの多次元プランニング

プランニングは製品グループレベルで実施されつつ、SKUや個別顧客アカウントまでドリルダウン可能です。ユーザーは、計画数量を確認・調整しながら、関連する価格やコストデータを管理し、販売金額およびCOGSを正確に算出できます。この多次元アプローチにより、サプライチェーンの制約や財務要件との整合性が高まり、計画精度が大きく向上します。
領域3:ワークフロー管理とインサイトの可視化

Boardは、どの計画ステップが、誰によって、いつ完了したのかを明確に可視化し、透明性・責任所在・進捗管理を確保します。さらに、視覚的なダッシュボードにより結果を直感的に把握でき、迅速な意思決定につながるインサイトを提供します。
Celine D’Annucci
最大のメリットは、シナリオを活用した計画が可能になったことです。Board上でさまざまな成長パターンや変数をシミュレーションし、その影響を即座に確認できます。以前は各部門がそれぞれ個別に計画を立てていましたが、今ではすべての計画業務がBoard上で完結しています。
導入効果:より迅速で、的確、そして部門横断でつながる計画プロセス
Boardの導入により、DENSOは従来のスプレッドシート中心の静的な計画業務から、セールス・サプライチェーン・財務を横断する、継続的かつインサイト主導の計画プロセスへと進化しました。計画はもはや一度作って終わりのものではなく、新たな情報が得られるたびに動的に更新される「生きたプロセス」となり、需要変動や価格変更、市場の混乱にも迅速に対応できるようになっています。統合されたプラットフォームにより、各チームはデータの確認や手作業による処理に時間を費やすのではなく、分析と意思決定に集中できるようになりました。
リアルタイムのデータ連携とシナリオシミュレーションを活用することで、予測精度も大幅に向上しています。また、セールス・需要計画・財務の各チームは、同一の環境で計画・分析・調整を行えるようになり、部門間の連携は格段にスムーズになっています。
主な導入効果
- セールス・需要・財務を単一プラットフォームでつなぐ継続的な計画プロセス
- 統合データにより可能になったローリングフォーキャストとリアルタイム更新
- 先を見越した意思決定を支えるシナリオシミュレーション
- 変動の激しい市場環境において、予測精度と機動力が向上
- 48市場にまたがる透明なワークフローにより、グローバルな協業を促進
- コスト・価格・経費計画へと拡張し、包括的な業績管理を実現
セールス:
- SKUレベルでのリアルタイムな可視性
- ドライバー型計画およびシナリオシミュレーション
- より迅速で正確な予測
サプライチェーン:
- Logilityの数量予測を直接統合
- 需要アサンプションとセールス計画の整合性を強化
- 正確な数量反映により欠品(BO)を削減
財務:
- セールス計画のアウトプットが自動的にBoardのP&L予算へ連携
- オペレーション計画と財務成果の結びつきを強化
- 予算編成および収益性分析における、より信頼性の高い起点を確立
総じて、セールス・サプライチェーン・財務の連携はこれまでになくシームレスになりました。計画は常に最新の状態に保たれ、市場変化への対応スピードが向上すると同時に、部門横断での整合性も確保されています。この変革により、計画業務における摩擦が軽減され、需要変動への対応力が高まり、業務計画と財務計画の連動性が企業全体で一層強化されました。
Ruslan Leontiev
Boardは、単なるITインフラの一部としてのシステムではなく、さまざまな業務プロセスを一元的に管理し、最大限の効率を生み出すための包括的なプラットフォームだと捉えています。私たちの場合、営業計画ソリューションを導入した後、コスト、価格、経費計画といった他の業務プロセスにも、活用の幅を広げています。
今後の展望
Elena Kutlemina
私たちは、今後もBoardの活用をさらに広げていきます。将来的には、財務計画においてAIや機械学習を導入する方針です。これからの時代においては、変化をいち早く察知し、高い機動力を保ちながら、迅速に適応していくことがますます重要になると考えています。
パートナー: K.Group について
K.Groupは、DENSOにおけるBoard導入の成功において、極めて重要な役割を果たしました。その支援は単なるテクノロジー導入にとどまらず、組織全体の変革にまで及んでいます。導入パートナーであると同時に戦略アドバイザーとして、K.Groupは、Excelに依存した分断的なプロセスから、セールス・財務・サプライチェーンをシームレスに結び付ける、統合型かつ協調的な計画モデルへの移行をDENSOとともに推進しました。K.Groupの専門知識、体系的なアプローチ、そしてDENSOとの緊密な協業は、高いユーザー定着率、プロセスの整合性、真に統合された計画環境の構築に不可欠でした。その結果、製品および顧客視点での共通の計画を通じて、部門横断および組織文化の連携が大きく強化されました。
Andrea Patiti
最も大きな変化は、組織文化の変革でした。プロダクトマネジメントが持つ「商品視点」と、セールスチームが持つ「顧客視点」を計画の中で結び付けることで、DENSOは人材の考え方、協働の在り方、そして意思決定の進め方を根本から見直しました。現在では、計画が戦略と実行を自然につなぐ架け橋となっています。
Ruslan Leontiev
K.Groupのサポートにより、導入プロセスは非常にスムーズに進みました。同社には豊富な専門知識と業務プロセスに関する深い理解を活かして、私たちが最も効率的な形でプロセスを導入・改善できるよう支援していただきました。