イギリスとアイルランドの高級ファッション小売大手である Harvey Nichols は、バラバラで信頼性の低いレポートシステムに悩まされており、正確かつ効率的なパフォーマンス管理が難しい状況でした。こうした課題を解決するために、同社は統合型プランニングプラットフォーム「Board」を導入。これにより、複数のBIシステムを一つの統合フレームワークに集約し、データの正確性、一貫性、アクセス性が大きく向上しました。日次・週次の売上レポート、予算管理、予測、アドホック分析の精度とスピードが飛躍的に改善。レポート作成の高速化、IT部門の負担軽減、より深いデータインサイトの獲得といった大きなビジネス効果を実現し、同社はさらなる成長とイノベーションに向けた強固な基盤を築いています。
イギリスを代表するラグジュアリーファッションリテーラーとして知られる Harvey Nichols は、世界中で高い評価を受けています。厳選されたファッションやビューティーアイテム、プレミアムなフード＆ワイン、そして数々の受賞歴を誇るレストランを展開しています。
課題
変化の激しいリテール業界において、常に一貫性があり、信頼できて、簡単にアクセスできる情報は、お客様とビジネス双方のニーズを深く理解するための重要な鍵となります。Harvey Nichols は、事業の成長に伴い、進化するニーズに柔軟に対応できる堅牢なフレームワークの導入が必要であると認識していました。
より正確で、使いやすく、コスト効率の高いパフォーマンスマネジメントを実現するためには、より統一されたアプローチが不可欠でした。リテールオペレーションディレクターは次のように説明しています。
“Our existing reporting wasn’t cohesive or reliable and was produced by a myriad of different tools. Users were not confident in the accuracy or reliability of the data. Board has allowed us to consolidate our information into a single, integrated solution and displace multiple systems – Hyperion (Financial Reporting), Business Objects (Sales Reporting and Analytics), Arthur Planning, and a multitude of spreadsheets – giving the users much more faith in the results.”
シニアビジネスシステムマネージャーは次のように語っています:
“The pilot, replicating the sales reports produced in Business Objects, was completed in a matter of days. It was clear to us that Board would provide us with the single integrated environment that we wanted.”
ソリューション
Harvey Nichols は、Boardの導入によって解決できる主要な課題を明確にしました:
- より正確で統一されたレポーティングの実現
- 複数のデータソースの統合
- 複数の既存BIシステムをBoardで一本化
- 予算管理・フォーキャスティングの効率化
- タイムリーで簡単なアドホックレポーティングの実現
- セルフサービスBIの提供
- データの一貫性向上
従来の仕組みでは、さまざまなツールや分断されたアプローチに依存していたため、スプレッドシートが乱立し、各部門が独自の方法でレポートを作成していました。その結果、データの一貫性が低く、情報の正確性に対する信頼も十分ではありませんでした。さらに、データ管理のコントロールも不十分で、ガバナンスが緩い状態になっていたのです。
Boardの導入によって、Harvey Nichols はこうした分断を解消することができました。統一されたフレームワークと堅牢な基盤を構築し、幅広いパフォーマンスマネジメントのアプリケーションをスムーズに提供できるようになったのです。
Boardのプログラミング不要のアプローチにより、ユーザーは自立してデータを活用できるようになりました。アドホックレポーティングはこれまでよりも圧倒的にシンプルかつスピーディーになり、大幅に向上したデータ統合によって情報の正確性に対する信頼が高まりました。データの一貫性と「シングルバージョン・オブ・ザ・トゥルース（唯一の正しい情報源）」の提供が、ユーザーのさらなるデータ分析への意欲を後押ししています。
“There is a greater thirst for the information on which to base sound decisions, which can only be healthy for the business,” said the Retail Operations Director.
Boardの導入により、デイリーセールス、在庫、財務レポーティング、さらにコストおよび売上予測において、飛躍的な改善が実現しました。
まず、ハイペリオンを置き換える形で、デイリーセールスのデータベースとレポートがBoard上に構築されました。データは最も細かいレベルで取り込まれており、SKU別、レジ別、日別、時間別、決済方法別、オペレーター（キャッシャー）別での分析が可能です。さらに、スタイル、カラー、サイズ、フィット感といったカスタマイズ可能な商品属性に加え、サブセクション、セクション、カテゴリ、部門といった標準的な属性による集計分析も行えます。
このデイリーセールスアプリケーションは、マーチャンダイザー、ファイナンス、オペレーション、セールスなど、全社のユーザーに展開され、簡単なトレーニングだけで、ドリルダウン機能を活用し、その場でアドホック分析や原因分析が可能になりました。これにより、IT部門への依存が大幅に軽減され、大きな時間とコストの削減につながっています。
次のステップとして、ビジネスオブジェクツで作成していた週次の売上レポートもBoardで置き換えられ、さらにコストおよび売上予測についても、従来数百に及んでいたスプレッドシートを完全に排除。Boardのワークフロー機能を活用することで、プロセスの自動化だけでなく、これまで Harvey Nichols では実現できていなかった管理体制も構築することができました。
“Even those users wedded to spreadsheets are happy to work with Board, thanks to its ease of use,” explained the Senior Business Systems Manager. “We have now rolled out financial reporting and sales and stock reporting across the business, making Hyperion redundant and phasing out Business Objects. We have just completed work on cost and sales forecasting in Board, which replaces hundreds of manual spreadsheets, and our main project on Board next year is to create a WSSI. Board has given us a single application that has simplified and fully integrated our MIS reporting and planning. We are able to quickly produce ad-hoc reports, giving both head office and stores much greater visibility of our KPIs.”
導入による効果
Harvey Nichols は、Boardの導入によって大きなビジネスメリットを得ています:
システムパフォーマンスの大幅な向上
リテールビジネスにとって非常に重要な月曜日の朝。かつてはレポートの実行だけでシステムがほぼ停止状態になるほど負荷がかかっていましたが、Boardの導入により、こうした問題は完全に解消されました。
データの一貫性とアドホックレポーティングの効率化
ビジネス部門からのアドホックなレポート依頼や、「データは正確か？一貫性はあるのか？」といった問い合わせ対応に追われていたIT部門の負担は、ほぼゼロに。これにより、ITはより価値の高いプロジェクトや改善施策に集中できるようになりました。
圧倒的なパフォーマンス改善
最大の成果は、パフォーマンスの劇的な改善です。従来、ビジネスオブジェクツでのレポート作成には30分から60分かかっていましたが、Boardでは同じレポートがほぼ瞬時に出力可能になりました。
“Users are now able to have the data that they require at their fingertips, allowing them to concentrate on the analysis they should be doing, rather than sitting around waiting for the reports to be produced. The time/cost benefit to the business is significant and as we discover more ways of utilizing Board that can only grow,” explained the Retail Operations Director.
ビジネスオブジェクツ、ハイペリオン、アーサープランニングの置き換え
「新しいソリューションは、導入も簡単で、操作も非常に直感的です。ユーザーからのリクエストにも、数日ではなく数時間で対応できるようになりました。レポーティングの精度も向上し、ライセンスがひとつだけで済むのでコスト面でも大きなメリットがあります。BoardのBIフレームワークがあることで、今後のビジネス拡大を支えるさらなる機能拡張もスムーズに実現できます。」
今後の展望
Harvey Nichols では、今後さらなる展開を計画しています。
- WSSI（週次売上・在庫・仕入管理）の導入
- 店舗へのカスタマーインサイトのさらなる提供
- ハンディ端末への情報プッシュ
- さらなるデータソースの統合
“The more we use Board, the more uses we can see for it,” comments the Senior Business Systems Manager.
リテールオペレーションディレクターはこう締めくくっています。
“We have achieved a lot in the first 12 months, but there is a lot more to come. We have made a great start with a product that we believe can do the job we want it to and both the processes and relationships with Retail Assist and Board have been extremely positive. We like to choose suppliers that we want to work with and have confidence in, not necessarily the ones that have the most technologically advanced solutions, and in this case we appear and hope to have achieved both.”
