次世代のインテリジェント・プランニング™をご紹介いたします。
Toyota Motor Europe

トヨタモーターヨーロッパ:欧州全域をカバーする計画とレポーティング

グループ内40社を網羅した収益性分析と計画の変革を推進

スプレッドシートを使用した異なる予算編成および予測プロセスから脱却し、トヨタモーターヨーロッパ(TME)は、Boardのインテリジェントプランニングプラットフォームを使用して、グループ内の40社すべてにわたってプロセスを標準化しました。現在、財務報告と差異分析、P/L作成、CAPEXの5か年計画、およびシナリオモデリングは、ゼロベース予算やドライバーベースの計画といったさまざまな方法論から選択する可能性を持ち、より高度にコントロール可能な単一の統合ソリューションで実行されています。

Read the full case study
  • Industry: Automotive
  • 部門: Finance
  • Revenue: $29.28 billion
  • Users: 750
  • Group Companies: 40
  • Cost Centers: 5,000

ブリュッセルに本社を置くトヨタモーターヨーロッパ(TME)は、グローバルに展開するトヨタ自動車のヨーロッパにおける事業統括会社です。TMEは、20の物流会社、Yaris、Corolla、C-HRなどの車両を製造する5つのヨーロッパ製造会社(EMC)、自動車販売店と直接提携している14の全国マーケティングおよび販売会社(NMSC)などの複数の部門で構成されています。

課題:柔軟性のないExcelベースの予算編成と予測

2017年、TMEは企業グループ全体で統一された予算編成、計画、予測、およびレポートの作成に向けた財務変革プロジェクトを開始しました。マスターデータを管理するERPシステムはすでに導入されていましたが、その使用方法はほとんど標準化されておらず、複雑なExcelベースの予算計画や予測は維持するのが困難であり、変化する市場環境に適応するために必要な柔軟性に欠けていました。

彼らの理想とするものは、グループ内40社すべての予算と予測を作成するための統一されたプロセスを確立し、日本の親会社に簡単にデータを送付して統合できるようにすることでした。

ソリューション:すべての予算編成、予測、およびレポート作成のための単一のプラットフォーム

財務部や営業部門の多数の利害関係者が関与し、1週間をかけて実施した広範な概念実証(PoC)を経て、TMEは、ビジネスインテリジェンスと計画を単一のプラットフォームで実現し、且つユーザにも使いやすい環境を備えたBoardインテリジェントプランニングプラットフォームを選択しました。PoCの期間、P/L作成の標準化、差異分析、その他の予算編成および予測業務などTMEの実務に沿った多数の重要な項目に対してBoardをテストしています。Boardを選択した主な理由の1つは、担当者がデータ入力を簡単に実行できるようにする機能でした。これは、プロセスを効率的に実行するために不可欠でした。 

BoardはTMEのERPとデータウェアハウス上にあり、ユーザが接続して計画業務を行いつつ、40社から実際のP/Lデータをほぼリアルタイムで取得します。TMEのプロジェクトマネージャーJordan Rowley氏は次のように説明します。

当社のデータウェアハウスは、ERPからリアルタイムでデータを取得するため、入力されると自動的に取得されます。Boardの同時実行機能を利用して、データウェアハウスからほぼリアルタイムでデータを取り出しています。 現在、30分ごとにデータウェアハウスを読み取っています。

Boardプラットフォーム導入後、組織のさまざまな領域に影響を与えるいくつかの重要なマイルストーンに沿って、TMEは3年間にわたり、段階的にプロジェクトに着手しました。Rowley氏は次のように続けます。

我々は非常に早い段階で、段階的に実装することで実装リスクを分散することとしました。アジャイルアプローチに基づいてプロジェクトを効果的に分割し、開発を部分的に進めていくことを3年間にわたって実行しました。我々は全体を通して利益を得たいと考え、その過程でBoardから学びたいと考えていました。そうすることで、今後実装する際に、より適切で情報に基づいた判断を下すことができます。 また、お客様、つまりエンドユーザーから幅広いフィードバックを得ることができました。 実装における重要なことの1つは、ユーザの声に耳を傾け、お客様が望むものを確実に提供することです。


Toyota Planning and Reporting Digital Transformation Milestones

2020年Board Dayで発表されたトヨタのBoardプロジェクトのタイムライン


Boardは、事前定義されたソリューションではなくカスタマイズ可能なプラットフォームとして、TMEがこの段階的アプローチを簡単に採用でき、ソリューション全体の異なる要素をさまざまなビジネスユニットに徐々に展開していきました。Rowley氏が説明するように、プロジェクトは2017年に始まりました。

私たちの最初の主要なマイルストーンは、21社の予算と予測計画プロセスの導入でした。これには計画とレポート作成プロセスの両方が含まれており、弊社にとっては極めて重要なマイルストーンでした。続いて、年度末に備え、各地域のP/Lレポートと割り当てプロセスを実装しました。既存のプロセスはExcelで実行されており保守が非常に複雑だったため、できるだけ早くBoardに取り込みたいと願っていました。

プロジェクトは、多通貨による差異分析に加えて、各地のP/L作成をグループP/L作成へと拡張していきました。次に、TMEはソリューションのさまざまな側面を微調整および強化し、ユーザのフィードバックを全体的に考慮して継続的な改善を推進しました。

社内のさまざまな部門やグループ企業と連携して作業を進めるとともに、Boardとも非常に緊密に協力してきました。私たちはBoardのチームから多くのことを学び、そして彼らも私たちから学びました。それは相互に有益な関係であり、私たちは前進し続けています。(Rowley氏)

利点:レポートと計画に関する洞察の向上、手作業の削減、管理の強化

現在、システムには、グループ及び地域のコントローラー、および財務部門外を含めて750人のユーザがいます。全員が、Boardで標準化された単一のプロセスに則り、計画データを入力し、予算と予測を作成およびレビューしています。これらのユーザは、TMEの本社、製造会社、マーケティングおよび販売会社に均等に分割されます。Rowley氏は次のように説明します。

システムや属性が多く存在する弊社には、今回実装したような標準化されたプロセスは非常に重要なソリューションです。この標準化により、より迅速かつ効率的な計画とレポートのサイクルを構築できました。

現在、プロセスの多くは自動化されており、担当者はデータの照合や比較ではなく意思決定に集中できます。

これで、完全に自動化されたグループレポートパックができました。これにより、分析に移行し、データ収集作業から解放されます。かつては、さまざまなExcelファイルが存在し、手動で収集する必要のあるデータが多くありました。Board導入により、すべてから脱却することができました。現在は、データは自動収集プロセスによって収集され、コントローラーは、データの分析と状況への対応にほとんどの時間を費やすことができ、十分な情報に基づいたビジネス上の意思決定を行うことができます。(Rowley氏)

詳細なレポートと差異分析

ほぼリアルタイムのデータを使用して、年初来のグループ差異分析と動的レポートをBoardで簡単に作成できるようになりました。複数の事象から受ける影響や為替レートの影響など40を超えるKPIにより、40社の数値を容易に把握することができます。為替レートのシミュレーション機能を活用し、プロセス全体のさらなる洞察と特定の通貨の変動をシミュレーションすることができます。

これらの機能は、2つのコンポーネント部分に分割されるP/L分析と連携して使用されます。また、収益性分析と呼んでいる、車両と収益源の観点からグループ全体の収益性を調べる機能も備えています。また、より具体的なP/Lレポートを、非常に低いレベルの詳細にまで分類しています。(Rowley氏)

 P/L以外では、Boardは非常に詳細なレポートを提供し、ユーザが複数の観点からデータを精査できるようにします。Rowley氏は次のように話しています。

レポートに関しては、多くのオプションと柔軟性があります。グループの視点から見ることができるので、主にグループのユーロ通貨で見ることができますが、現地通貨を使用してミクロレベルで現地企業の視点からレポートを表示することもできます。前述のように、システム内には非常に広範な割り当てプロセスがあり、ここで重要なのはエンドユーザ向けのレポートです。財務部門以外のユーザが日常的に参照しているものです。予算と実績の比較は、彼らにとって非常に重要なKPIであり、予測のための計画データでもあります。Boardを通して、ユーザが各画面またはレポートでパラメーターのフィルタリングや追加ができるオプションを提供しているため、ユーザがより低いレベルの詳細にドリルダウンしたい場合も、可能です

明確で透明なP/L生成

TMEは、さまざまな次元で企業およびグループレベルの結果をすばやく確認できるようになりました。これにより、各製品の収益への実際の貢献について透明性と理解が得られます。

CAPEXの5年間の展望

最終的な予測または予算修正がどこで発生するかを把握するために2つの選択されたシナリオ間で実行できるギャップ分析は、主にグループ内の製造会社に使用されています。さらに、これらの事業には堅牢なCAPEXプロセスが実装されました。Rowley氏は次のように話しています。

これは、5カ年計画を含むプロセスでした。 CAPEXの支出は非常に重要であることは明らかで、多くの計画が必要であり、CAPEXの包括的なプロセスが必要でした。

インタラクティブな計画とシナリオモデリング

Boardは、レポートと分析に加え、事業計画立案やさまざまな課題に効果的に対応できるよう複数のシナリオやバージョンも迅速かつアジャイルに収集できるようにします。Boardを使用してTMEは次の項目を管理しています:

  • 各会社やプロセスに固有のテンプレート集
  • 予測およびゼロベース予算編成プロセス。場合によってはドライバーベース
  • バージョン管理による計画シミュレーション
  • データの相互検証ルールを含む、ERPシステムとのリアルタイム統合
  • 計画プロセスを管理するための4段階のワークフロー
私たちが望んでいた重要な機能は、迅速で機敏にデータの収集を容易にするテンプレートでした。ユーザに負担をかけるような、広範で手の込んだテンプレートは必要ありませんでした。固有のフィードバックに基づいた、ユーザが非常に見やすい企業やプロセスに固有のテンプレート集を実装しました。(Rowley氏)

Boardプラットフォームに組み込まれたワークフローと、進行状況を示すわかりやすい信号インジケーターを組み合わせることで、計画プロセス全体をより細かく制御できるようになりました。

ユーザがテンプレートを送信すると、基本的なワークフローが実行されます。すべてのテンプレートの送信を追跡でき、複数のテンプレートについて会話をしているとき等には重要な点です。また、一部のテンプレートにはドライバーベースのアプローチがあり、データは単価ベースで収集されます。次に、管理チーム内で可視化され、生産量が乗算されて、工場の総使用量が算出されます。

Boardでさまざまなバージョンのデータを作成できるようになったため、予測の頻度が増えました。これは、COVID-19のパンデミック時に特に役立っています。

Boardのバージョン管理を多用しましたが、最近は特に非常に重要になっています。通常の場合は最終予算となる初期予算を用意しますが、COVID-19の状況では、その予算の複数のバージョンと複数の予測をBoardで作成することができました。通常は四半期ごとの予測しかありませんでした。(Rowley氏)

シナリオモデリングはBoardで簡単に実行できるため、ユーザはさまざまな状況の潜在的な影響を考慮したより多くの情報に基づく意思決定を行うことができます。現在120のシナリオバージョンが使用されており、重要な財務的洞察を提供しています。Rowley氏は次のように続けます。

Boardを通して、複数の異なるシナリオを必要に応じて比較することができます。したがって、予算と実績の比較や、今年の予算と昨年の予算、複数のバージョンの予算などを比較したりできます。

主要推奨項目:要件を理解し、データ品質の高さを確保

変革プロジェクトの終わりに近づいたRowley氏は、同様の変革を検討している人々にいくつかの重要なアドバイスをしています。

私たちにとって重要だったのは、開発前に、要件を完全に理解して文書化する必要があったということです。プロジェクト開始前、実装前に要件を完全に理解していなかったため、プロセスのある時点でいくつかの手直しを行う必要がありました。

別の教訓は、当初は会計に重点を置きすぎていた計画テンプレートの実装を通じて学びました。

私たちがやろうとしたのは、Excelにあったものをコピーして、それを直接Boardに反映することでした。しかし、Boardのベストプラクティスを適用する必要があることをすぐに学びました。彼らは多くの企業や多くの顧客への導入経験があり、弊社のプロジェクトはその恩恵を幅広く受けています

最後のポイントは、データ品質です。Rowley氏は次のように締めくくっています。

これは言うまでもありませんが、私たちが苦労して学んだことです。データ品質は、質の高いレポート作成にとっては重要な前提条件です。Board内でレポートを定義および作成することは目的のひとつですが、データ品質が十分な基準であることが前提で、尚かつすべての企業の基準でない限り、Boardから出たレポートは必要な基準を満たすことができません。従って、この点は私たちが全力で取り組んできたことで、後から考えると、実装前に事前に行っていたはずのことです